- つける
- I
つける【付ける】❶接触・接合・付着させる。(1)二つの物が触れたまま離れないようにする。 接合する。 くっつける。
「二本のコードをはんだで~・ける」「折れた骨をもと通りに~・ける」
(2)ある物と他の物を接近させていって, 表面がぴたりと触れるようにする。「顔を窓ガラスに~・けてのぞきこむ」
(3)ある物に異質な物を付着・浸透させる。「顔に墨を~・ける」「傷口に薬を~・ける」「シャツにしみを~・ける」
(4)ある物に, 付随的な物を添える。 (ア)(多く「着ける」と書く)着物や装身具をからだの一部に装う。「下着を~・ける」「はかまを~・ける」(イ)付属品をとりつける。 「ドアに鍵を~・ける」(ウ)(「附ける」とも書く)ある物を付随させる。 「条件を~・ける」「利息を~・ける」(エ)草木に花や実が生じる。 「ツバキが赤い花を~・ける」「梅が実を~・ける」
(5)あとを残す。 (ア)力を加えたりしてあとを残す。「テーブルに傷を~・ける」「紙に折り目を~・ける」(イ)印(シルシ)を記す。 「該当する項目に〇を~・ける」(ウ)帳簿などに記入する。 「家計簿を~・ける」「日記を~・ける」
(6)栄養・体力・知識などを備えさせる。「実力を~・ける」「教養を身に~・ける」「手に職を~・ける」「変な癖を~・けないように」
〔「身に~・ける」は「着ける」とも書く〕(7)連歌・俳諧で, 前の句に後の句を, うまくつながるように続ける。❷そばに寄せる。(1)人をそばに置く。 (ア)つき添わせる。「要人に護衛を~・ける」(イ)あとに寄り添う。 「先頭にぴたりと~・けている」(ウ)対立するものの一方にある人を組み入れる。 「近隣諸国を味方に~・ける」
(2)ある物を近くに寄せる。 (ア)(多く「着ける」と書く)乗り物を移動させて, ある場所に横付けにする。「車を正面玄関に~・ける」「船を岸壁に~・ける」(イ)他に対して苦情を寄せる。 「納入された品にクレームを~・ける」「文句を~・ける」
❸他の人のあとをこっそり追う。「捜査員が容疑者を~・けていく」「だれかに~・けられている」
❹あるものを加え, 新しい状態にする。(1)新たに設ける。 設置する。「自宅に電話を~・ける」「道を~・ける」
(2)(「点ける」とも書く)ある現象・活動などがあらわれるようにする。 (ア)点火する。「火を~・ける」「ストーブを~・ける」(イ)あかりをともす。 また, 電気などで動く器具を働かせる。 「ランプを~・ける」「あかりを~・ける」「テレビを~・ける」
(3)ある物に名称・評点などを与える。 (ア)命名する。「生まれた子に名を~・ける」(イ)予算を割りあてる。 「予算を~・ける」(ウ)評点・値段を与える。 「合格点を~・ける」「せり市で一千万の値を~・ける」
❺説明を加える。「もっともらしい理由を~・けて会社を休む」
❻実現・決着の望まれていたことを実現・決着させる。「問題に決着を~・ける」「円満に話を~・ける」「渡りを~・ける」「けりを~・ける」
❼区分をはっきりさせる。 差が出るようにする。「けじめを~・ける」「一馬身の差を~・ける」
❽判断・予想を行う。「見当を~・ける」「完成の目処を~・ける」
❾感覚・意識を働かせる。(1)(「…に気をつける」の形で)注意力・警戒心をそこに注ぐ。「車に気を~・ける」
(2)(「…に目をつける」の形で)関心を寄せる。 特別な注意を向ける。「それまで捨てられていたカンの殻に目を~・けた」
❿「…につけ(て)」の形で用いる。(1)(「…につけ, …につけ」の形で)それぞれの状況において, の意を表す。「暑いに~・け, 寒いに~・け, 苦労は絶えない」
(2)(「…につけ」「…につけて(も)」の形で)それに伴って, 関連して, の意を表す。「それに~・けても思い出されるのは…」「何かに~・けていやみを言う」
⓫関係をもたせる。(1)ことづける。 託す。「京に, その人の御もとにとて文書きて~・く/伊勢 9」
(2)それをきっかけとする。 かこつける。「心に思ふことを見る物, 聞く物に~・けて言ひいだせるなり/古今(仮名序)」
⓬動詞の連用形に付ける。(1)その動作の激しいことを表す。「どなり~・ける」「にらみ~・ける」「しかり~・ける」
(2)その動作に慣れていることを表す。「やり~・けない仕事」「この子はしかられ~・けている」
〔「付く」に対する他動詞〕︱慣用︱ 色を~・因縁を~・折り紙を~・方(カタ)を~・眼(ガン)を~・けちを~・知恵を~・注文を~・唾(ツバ)を~・手を~・難を~・熨斗(ノシ)を~・箔(ハク)を~・火を~・眉(マユ)に唾を~・味噌(ミソ)を~・目星を~・目安を~・勿体(モツタイ)を~・埒(ラチ)を~/金に糸目をつけぬ・手が付けられないIIつける【就ける】〔「付ける」と同源〕(1)人をある地位に置く。 (ア)(「即ける」とも書く)国王の位に置く。 即位させる。「王位に~・ける」(イ)人をある役職に置く。 就任させる。 「社長のポストに~・ける」
(2)ある人から教えを受けるためにその弟子とさせる。III「一流のピアノの先生に~・ける」
つける【漬ける・浸ける】(1)物を液体の中にいれる。 ひたす。「水に洗濯物を~・けておく」
(2)野菜や魚・肉などを糠味噌(ヌカミソ)・麹(コウジ)・塩などの中に入れて漬物にする。 《漬》「ナスをぬかみそに~・ける」
Japanese explanatory dictionaries. 2013.